雪の日は読書日和。三島由紀夫の『美徳のよろめき』

今朝は雪かきからスタートした御殿場です。

 

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《雪を重そうに積んでいる桜の木。京都国立博物館で見た円山応挙の『雪松図屏風』を思い出しました》

 

ヤマトヤ本部の従業員みんなで1時間ほど雪かきをして、駐車スペースを空けました。昨日のうちに撒いておいた融雪剤(ゆうせつざい)のおかげもあって、比較的サクサクした雪。雪かきの終盤になると、マダムスタッフがおもむろに

 

「今日、いちご大福を持ってきてます」

 

きゃーーーーーーっ!と、雪かきの手が早くなったような(笑)。

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《柿次郎(東名の足柄SA)のいちご大福。「アルクのマークみたい」と言ったのは誰でしょうか?》

 

そんなわけで、午前10時の恒例、ヤマトヤ本部のティータイムは、いちご大福でしたっ!

 

さてさてー。

 

今日はひさしぶりにブックレビュー。三島由紀夫の『美徳のよろめき』です。中学生のときにハマって、三島由紀夫の小説はほとんど読んでいるので、実に23年ぶりの再読となりました。あまりにも読み応えがあったので、今回は繰り返し2回読みました。というのも、1回目読んだときの感想を一言で言うと・・・・・

 

難しかったぁ!

 

です。ところどころが観念的すぎて、カントが読んだらびっくりするレベル(生きている時代が違うからカントがこの小説を読むことはないけど)でした。この難解な文体を中学生だった私は果たして理解して読んでいたんだろうか・・・・。今となっては思い出せません(笑)。

《三島作品はほぼ全て、朱色でタイトルが描かれ、タイトル文字の大きさと同じ大きさで「三島由紀夫」と印字。今も昔も変わらぬスタイルの表紙》

 

でもね、1回読み終えてから、すぐにまた再読すれば「スルスル理解できる〜!」という感覚をえられて、本を読むのが楽しくなりますし、キライな小説の数が減ります(笑)。

 

もちろん、読解力に個人差あるでしょうけれど、読んだ直後にすぐに再読する!難解な小説に出会ったときの対策としておすすめです。時間があるときは、ぜひ試してみてくださいね♪

 

さて、『美徳のよろめき』。節子と土屋の背徳行為を節子側から描いた作品(作品中、「節子は〜〜」「彼女は〜〜」と、節子が主語になっている文章がほぼ1ページおきに出てきます)。”背徳行為”は、はい、ストレートに言っちゃうといわゆる”不倫”(←この言葉、あんまり好きじゃないんですけどね・・・・)です。

 

中学生のときに読んだときは気にもしなかったけど、改めて思うのが、この小説は昭和32年(今から61年前)に発表されているんです。あの時代に、不倫を含む諸々の行為を描く作品は、当時の人たちに衝撃をもってむかえられたのでは・・・と驚きました。でも、「よろめき」という言葉が当時の流行語になったくらいだから、ある程度愛着をもって迎えられた感もありますが。

 

ただ、”不倫”だからといって、ぐちゃぐちゃはしていないし、読み手には、背徳を背徳だと感じさせずに、「これは節子独特の美徳かな?」とすら感じさせる・・・・、そんなところまで昇華されていたのは、三島の優美な筆致によるところだと思います。

 

観念的な文章も多くて、決して読みやすい小説ではないし、節子のキャラクターも「実際に、女友達がいたらめんどくさい」と思っちゃうけれど、読みこなしたあとに心に迫る感覚は読んだ人だけのものですし、節子の内面世界の不思議さを味わえる小説。

 

雪の日は、本の世界にどっぷりひたるにはもってこいの一冊です。

 

 

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